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極東製薬工業(株)公式ブログです。
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【主席研究員部屋6】 人の体ってすごいんです(後編)

「人の体ってすごいんです」の続きでございます。



□ ボールミルってのはね □

このボールミルによる培地製造ですが、粉砕機、混合機を組わせて使ったほうが短時間で大量に良い培地が生産できると仰る同業の方もおられます。確かにボールミルはその原理上、バッチ単位(茶筒の容積量に依存する)でしか製造できない上、粉砕や混合工程にやや時間が掛ります。と言っても1バッチの生産(製造一回分です)そのものに掛かる時間は数日間程度ですし、1t程度の粉末培地を生産できると言われています(凡そ培地数万Lに相当する分ですね)。

しかしながら、ボールミルは時間を掛けて混合しながら粉砕しているため、粉末には殆ど熱が掛かりません。一般的な粉砕機は高速で回るピンや、ハンマーによる衝撃力やせん断力によって原料を粉砕します。これらの粉砕機は高速に粉砕できますが、短時間で急激に摩擦や衝突が起こるため、熱が発生しやすいのです。特に高速にするほど熱が発生しやすいので、粉砕速度は抑え気味にしたほうが良かったりします。ところがボールミルでは品温は室温+1~2℃程度にしかなりません。真夏の気温は30℃以上だ、なんてツッコミ入れないでくださいね、当社の場合、製造区画は温度が管理されている上、クリーンルーム仕様です。はっきりいって私の家より快適です。ボールミルは粉末培地にとっても優しい機械なんですよ。

それと、ボールミルの良い点は閉鎖空間の中で混合と粉砕が進むので、混合粉砕中に外から余計な異物の入る可能性が殆どないことです。これは製造する側にとっては非常にありがたいことです。異物によってはエンドトキシン(グラム陰性菌外膜に存在するリポ多糖からなる物質で、細胞や生体に影響を与えます。)値や、バイオバーデン(材料や製品中に存在する生育可能な微生物数)が上がったりします。更に言えば、異物が混入した製品なんて売れません。




□ 人の体は測定機 □

ここから先はオタク オブ ザ オタクの話。ボールミルによる混合粉砕は、慣れてくると混合時の音を聞いているだけで、ミルの中の粉末の粉砕状態がある程度予測できるようになったりします。なんのこっちゃいという方もおられそうなので説明すると、粉砕の初期には当然原料は荒く、大きな粒子です。ボールミルの中で、ミルボールがボールミル内壁にぶつかる際にこれらの粒子が入り込むと衝撃が吸収されることになり、その時に発生する音は低音で籠もった感じになります。

粉砕が進むと当然粒子は細かく、均一になっていきます。そうなってくると衝撃が吸収されにくくなるため、ミルボールはボールミル内壁に直接ぶつかるようになります。この時に発生する音は高音で、澄んだ音です。この音の聞き分けができるようになると、粉砕の状態がある程度予測できるようになります。また、原料の種類によっては、ボールミル内壁に固着したりするものがありますが、これも音で判別できます(実際には衝突音が低く、聞こえにくくなっていきます)。その場合、ボールミルの処にすっ飛んでいって対処することになります。だって、固着すると原料が粉砕混合されなくなるんですよね。

もっとも、この話は試作段階のことで、製品を作る際には、それらの問題に対処された製造方法がSOP化されていますので、別段音を聞いて粉砕状態を判断するなんてことはしていませんよ(そんなことをしているのは私だけかもしれないが...)。 

はて、この文章を書いているうちに思いついたんだけど、ボールミルの混合、粉砕音を解析して内部の粉砕や混合状態を推定する機械って作れるんじゃないだろうか? あったら便利だよなあ。もし作られたメーカーさんがいたらぜひオタクまでご一報下さい。




□ 黙って触ればピタリと判る □

培地粉体は粒子径が10~100μmを頂点として分布しています。この粒子径が小さすぎると溶解時に培地の微粉の粉塵が舞い上がりやすくなって取り扱いが面倒です。辺りも汚れますし、マスクをしてないと吸い込んでしまい、かなり咳き込むことになります(慣れないとくしゃみが止まらなくなったりします。)。逆に粉砕が不十分で、粒子が大きすぎると、溶解に時間がかかったり、溶け残ったりします。そこで適切な粒度になるまで粉砕時間を変えながら粒度を確認するという作業が必要になります。

粒度は粒度計という装置を使って測定します。その際にはレーザ回折型粒度分布測定装置という器械で測定をしますが、この方法だと精度良く定量的に粒度分布が測定できます。ところが、昔はそんな便利な機械はありませんでした。初期には振盪ふるい法という測定法がありました。これはふるいのメッシュの目開き(ふるいの網の目の開き幅のことです)の異なる複数のふるいを組み合わせて、サンプルを一定時間ふるいにかけ、各ふるいに残ったサンプルの残量を測定することで粒度を測定する方法です。この方法は時間がかかる上、分布域の測定幅が粗い上に、手間が掛ります。なぜなら、測定幅を細かくしていくためには目開きの異なるふるいをどれだけたくさん重ねあわせるかってことですし、全部のふるいに残っている残量をいちいち計らなくてはならないからです。

なんとかならないか~というと、実はタダで誰でも使え、かつ短時間で計測できる簡易の測定装置が身近にあったりします。それは自分の指です。操作法はいたって簡単。耳かき1杯の粉体を人差し指に載せ、それを親指の腹で撫でくり回すだけ。測定結果は当然数値化なんてできる代物じゃありませんが、粉砕が不十分な粉体はザラザラ感が強く、指の腹に刺さるような感じになります。十分に粉砕されると、粉体はヌルヌルと指の腹に吸い付くようになり、まるで液体を撫ぜているような感じです。慣れてくるとかなり精度よく粉体の状態が見分けられるようになりますね。黙って触ればピタリと判るという感じですかね。1/100ミリ(10μm)の粉体の粒度を指先で判別しているというと、なんというか、匠の技の世界ですね。

 測定機器や分析手法が進歩して、今では殆ど使われなくなっている匠の技ですが、それでもオタクとしては人の体ってのは万能の計測機器ですごいんだなあと思うことしきりなわけです。さて、今回の「日本オタクばなし」はこの辺で〆たいと思います。私の怠慢で大分前回から間が空いてしまいましたが、見捨てずに次回のオタク話まで気長に待ってやって下さいませ。
お後がよろしいようで。




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